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弁護士に懲戒請求した”ネトウヨ”たちの意外な素顔とは?

懲戒請求した人の年齢で、今分かってるのは、1番若くて43歳。40代後半から50代が層が厚く、60代、70代もおられる。今までネトウヨ諸君と呼びかけていたけど、年齢的に上の人が多そうなので、失礼だったかな?」

 

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    5月18日にこうツイートしたのは東京弁護士会佐々木亮弁護士だ。根拠のない懲戒請求を計約4千件出され、業務を妨害されたとしている。同じ被害を受けたという北周士弁護士とともに16日に会見し、一部の請求者約960人に対して、損害賠償(請求者1人当たり60万円想定)を求める訴えを起こす方針を明らかにした。

 提訴する前にネットなどを通じて和解を呼びかけたところ、数十人から連絡があった。その人たちの年齢を聞いたところ、冒頭のような状況だったという。佐々木氏は予想以上に年齢層が高かったと驚く。

「当初は20代の若者が、訳もわからずやっているのかと思っていました。連絡してきた人と話すと、40代や50代のまじめそうな人が多くて意外でした」

 佐々木氏はなぜ自分が懲戒請求されたのか、理由がわからないという。大量の懲戒請求は、2016年に東京弁護士会朝鮮学校への補助金支給をめぐる国の対応を批判する会長声明を出したことがきっかけだとみられている。ネット上などで請求を出すよう呼びかけがあり、東京弁護士会の役職者ら10人に対し段階的に大量の懲戒請求が出された。佐々木氏にも「声明に賛同しその活動を推進する行為は犯罪行為」などとして、懲戒請求書が届いた。

「私は労働問題が専門で、朝鮮学校の声明には関わっていません。懲戒請求されることも初めてで、大量の請求書が届いたときには一体何のことだろうと思いました」(佐々木氏)

 特定のブログなどで請求が呼びかけられており、多くの人がそれに応じて一斉に出したとみられる。佐々木氏は請求したという男性とのやりとりをこうツイートしている。

「ところで、なんで私を懲戒請求したの?」(佐々木氏)

「名前があったので、申し訳ありません」(男性)

「でも、私は朝鮮学校のことなんて何もやってないよ?」(佐々木氏)

「えっ?」(男性)

「えっ?」(佐々木氏)

 懲戒請求する弁護士がどのような人物なのかよく確かめないまま、呼びかけに応じた人もいるようだ。

 北氏は佐々木氏への懲戒請求を批判するツイートをしたところ、自分にも大量の懲戒請求書が届いたという。

懲戒請求書の束を見て、自分は何をしたんだろうと怖くなりました。懲戒請求は誰でもできますが、弁護士にとっては資格を奪われるかもしれない重要なことです。やるのであれば根拠があるのかどうか、きちんと調べて欲しい」

 北氏は請求者と話すと、良くも悪くも「純粋」な人が多いと感じたという。

「年齢は高めで、男性ばかりではなく女性もいます。なぜこんなことをしたのか聞くと、『朝鮮学校の無償化に賛成する人に懲戒を請求すれば日本がよくなると思った』と複数の人が答えました。ネットの掲示板に匿名で書き込む感覚でやっている。懲戒請求するとどうなるかという具体的な認識がなかった。『こんなことになるとは』、という連絡をもらうこともありました」

 佐々木氏と北氏の会見を受けて、ネット上では「大量の懲戒請求をされても負担は大きくない」「多数の市民を訴えてお金をもうけようとしている」といった批判も出ている。

 佐々木氏はこう反論している。

「大量の請求書が届き怖い思いをしたし、所属する事務所にも迷惑がかかっています。裁判で勝ったとしても賠償金を回収するのは簡単ではなく、お金のためにやっているわけではありません。今回の懲戒請求のように、『大量の悪意』にさらされたのに被害回復できないケースはほかにもあります。同じことが起こらないようにするためにも、裁判で決着をつけたい」

 佐々木氏と北氏は懲戒請求者に6月下旬まで、謝罪と慰謝料計10万円を支払う条件で和解を呼びかけるという。その後は段階的に訴える方針だ。懲戒請求を呼びかけたブログの責任者らについては、刑事責任の追及も検討しているという。

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