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【日本代表、ガーナ戦|戦評】初陣で犯した2つのミス。一方で唯一の希望となったのは…

5/30(水) 23:46配信

SOCCER DIGEST Web

ウイングバックの突破頼みでは…

キリンチャレンジカップ2018]日本 0-2 ガーナ/5月30日/日産スタジアム
 
 配布されたメンバーリストを見ると、日本のそれが26人でびっちりと埋まっているのに対し、ガーナは17名。事情はどうあれ、「舐められたものだな」と勝手に思った。

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 しかし、そんなガーナに対して日本は苦戦。3-4-2-1システムでスタートさせたこの試合、立ち上がりこそ良いテンポでパスを繋ぎつつ、ダイナミックなサイドチェンジからチャンスを作るシーンもあったが、A・マドリ―所属のパーティーにFKを直接決められると、トーンダウンしていった。
 
 この日、日本が犯したミスのひとつは先制点を献上したことだ。弱者が強者に勝つには先行して相手を焦らせる必要があるのに、逆に余裕を与えては苦しい戦いになって当然だ。
 
 もうひとつのミスが、前半に限ればハイクロスを多用した点だ。実際、ウイングバックの原口と長友がゴール前に送っていたクロスはことごとく跳ね返されていた印象がある。そういう攻撃をするなら、磐田の川又、C大阪の杉本、札幌の都倉あたり(いずれも今回招集されていないが)を最前線に置くべきだった。高さがあまりないのに高さで勝負をしようとしていたところに疑問を感じた。
 
 ガーナからしたら、サイドを突破されてもゴール前を固めておけば大丈夫──。そんなスタンスだったかもしれない。実際、前半のガーナは横の揺さぶりに対してほとんど崩れなかった。前半、日本の攻撃に怖さがなかったのは、“ウイングバックの突破頼み”というところに原因があったのかもしれない。
 
 そんな日本は、前半を終えた時点でガーナのペースに呑まれそうになっていた。そして致命傷となったのが、51分のPKでの失点だ。あっさりとした守備で決定的なピンチを招くところは、ハリルホジッチ時代となんら変わらない。「急激な変化」を期待した西野監督も試合後はどこか浮かない表情だった。

 

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攻めの縦パスで局面を動かした柴崎

 トータル的に見て西野ジャパンの初陣で試した3-4-2-1システムはやや不発だった。なかでも厳しかったのが、ボランチの一角を担った山口。3月のウクライナ戦もそうだったが、ボールの取りどころが定まらず、攻撃の局面ではミスが目立った。試合前ではボランチの一番手と目された山口が乱調だったのは、西野監督にとっても誤算だったはずだ。
 
 結果も0-2、内容も乏しかったわけだが、だからといってポジティブな面がなかったわけではない。唯一と言っていい希望の光が柴崎だった。
 
 59分に山口に代わりボランチに入ると、いきなりミドルをかます。「威嚇じゃないですけど、個人としての入り方としてああいう場面が巡ってきたので(シュートを選択した)」という柴崎は、そこからゲームメイクで魅せる。
 
 62分、66分、87分と、逃げの横パスではなく攻めの縦パスで局面を動かし、いくつかチャンスを作りかけたそのチャレンジ精神は、今後に期待を抱かせるものだった。ウイングバックにボールを預けるだけでは正直、攻撃に怖さは出ない。相手の陣形を崩すには柴崎のように際どいパスを何度か打ち込む必要がある。そういう布石を打ってこそ、ウイングバックからのクロスも活きてくるのではないか。
 
 縦パスとクロス、そのどちらかに偏るのではなく、上手く使い分けることがゴールへの近道だろう。
 
 もっとも、3-4-2-1でのチャレンジは始まったばかり。違うシステムに変える可能性もあるが、いずれにしても──。西野監督が真の意味でチームをどうまとめるかは、ここからが勝負となる。
 
取材・文:白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)

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