米朝首脳会談中止 トランプ米大統領書簡の全文
【ワシントン時事】トランプ米大統領が北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長に送った書簡の全文は次の通り。
親愛なる委員長へ
双方が長らく求め、6月12日にシンガポールで開催される予定だった首脳会談。それに向けた交渉と議論に費やしてくれた時間と忍耐、労力に感謝する。北朝鮮側から会談の要望があったと聞いていたが、(どちらが求めたかは)どうでもよいことだ。私はあなたとシンガポールで会うことを心待ちにしていた。あなたの最近の声明に示された大きな怒りと明らかな敵意をみる限り、長らく計画された今回の会談を行うことは残念ながら不適切であると考える。この書簡をもって、シンガポールにおける首脳会談を取りやめることを示させていただく。これは双方のためであるが、世界にとってはよくないことだ。あなたは自国の核能力を自慢したが、米国の核能力は非常に大きく強力だ。これらを使わないで済むことを神に祈っている。
私はあなたとの間で素晴らしい対話ができていると感じていた。最終的に意味を持つのは対話だけだ。いつの日かあなたに会えるのをとても楽しみにしている。また、拘束していた米国人を釈放してくれたことに感謝したい。あれは美しい意思表示であったし、非常に感謝している。
この最重要の首脳会談に関し、気が変わった場合はためらうことなく連絡してほしい。世界、特に北朝鮮は持続的な平和と偉大な繁栄、富に対する大きな機会を失った。この失われた機会は歴史における本当に悲しい出来事だ。(2018/05/25-00:09)
米朝首脳会談 トランプ氏「来週にはわかる」 6.12会談どうなる?
北朝鮮の崔善姫(チェ・ソンヒ)外務次官は談話の中で、アメリカのペンス副大統領が、核放棄後に殺害されたリビアのカダフィ大佐を引き合いに出したことを非難した。
そのうえで、「アメリカが私たちの善意を冒涜し続けるなら、米朝首脳会談を再考するよう最高指導部に提起する」と、首脳会談の中止をあらためて示唆し、アメリカをけん制した。
一方、トランプ大統領は23日、米朝首脳会談が予定通り行われるか「来週にはわかるだろう」と述べた。
トランプ大統領「(米朝首脳会談が)6月12日の可能性は十分にある。来週にはわかるだろう」
こうした中、アメリカの政府機関は今週末、ホワイトハウスの高官らがシンガポールで北朝鮮側と首脳会談に向けた事前協議を行うことを明らかにした。
アメリカの有力紙ワシントン・ポストは、交渉関係者の話として、シンガポールでの開催に、金正恩(キム・ジョンウン)委員長が専用機の飛行距離や、身の安全に関して懸念を示していると伝えている。
トランプ大統領、米朝首脳会談「延期することも」
アメリカのトランプ大統領は韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領と会談し、来月12日に予定されている米朝首脳会談の開催を見送り、延期することもあるとの考えを示しました。ワシントンから岩田記者の報告です。
米朝首脳会談については北朝鮮側が中止の可能性を示すなど揺さぶりをかけてきていたわけですけれども、トランプ大統領は、この状況にかなり苛立っているようで、普段は10分程度で終わるカメラの前での発言が今日は40分近くに及びました。
「私は時間を無駄にしたくないし、金正恩氏もそうだろう。米朝会談が開かれない可能性は大いにあるし、それでもかまわない」(アメリカ トランプ大統領)
トランプ大統領がもう一つあらわにしたのが、中国に対する不信感です。トランプ氏は、今月上旬に行われた金正恩(キム・ジョンウン)党委員長と中国の習近平国家主席の2回目の会談の後から「北朝鮮の態度が変わった」と指摘した上で、「習主席は世界クラスのポーカーのプレーヤーだ」と述べました。つまり、習主席がポーカーフェイスで無表情を装いながら実は裏で、北朝鮮に影響を与えたことで、北朝鮮がアメリカに揺さぶりをかけるようになったのではないかと強く疑っているというわけです。
一方、韓国の文在寅大統領は米朝首脳会談の実現と成功を目指しています。韓国側は、今日のトランプ氏との会談では米朝首脳会談が支障なく進むよう最善を尽くすことで合意したと発表しました。
また、アメリカ側もトランプ氏の発言が強すぎたと考えたのか、ポンペオ国務長官が記者会見の時間を予定より早めて「6月12日の米朝首脳会談に向けて準備を進めている」と説明しました。
トランプ氏は、非核化に応じれば金党委員長の安全を保証すると述べまして、要求に応じるよう促しましたが、本当に6月12日の首脳会談が実現するのかどうか、目が離せない状況が続きます。
弁護士に懲戒請求した”ネトウヨ”たちの意外な素顔とは?
「懲戒請求した人の年齢で、今分かってるのは、1番若くて43歳。40代後半から50代が層が厚く、60代、70代もおられる。今までネトウヨ諸君と呼びかけていたけど、年齢的に上の人が多そうなので、失礼だったかな?」
5月18日にこうツイートしたのは東京弁護士会の佐々木亮弁護士だ。根拠のない懲戒請求を計約4千件出され、業務を妨害されたとしている。同じ被害を受けたという北周士弁護士とともに16日に会見し、一部の請求者約960人に対して、損害賠償(請求者1人当たり60万円想定)を求める訴えを起こす方針を明らかにした。
提訴する前にネットなどを通じて和解を呼びかけたところ、数十人から連絡があった。その人たちの年齢を聞いたところ、冒頭のような状況だったという。佐々木氏は予想以上に年齢層が高かったと驚く。
「当初は20代の若者が、訳もわからずやっているのかと思っていました。連絡してきた人と話すと、40代や50代のまじめそうな人が多くて意外でした」
佐々木氏はなぜ自分が懲戒請求されたのか、理由がわからないという。大量の懲戒請求は、2016年に東京弁護士会が朝鮮学校への補助金支給をめぐる国の対応を批判する会長声明を出したことがきっかけだとみられている。ネット上などで請求を出すよう呼びかけがあり、東京弁護士会の役職者ら10人に対し段階的に大量の懲戒請求が出された。佐々木氏にも「声明に賛同しその活動を推進する行為は犯罪行為」などとして、懲戒請求書が届いた。
「私は労働問題が専門で、朝鮮学校の声明には関わっていません。懲戒請求されることも初めてで、大量の請求書が届いたときには一体何のことだろうと思いました」(佐々木氏)
特定のブログなどで請求が呼びかけられており、多くの人がそれに応じて一斉に出したとみられる。佐々木氏は請求したという男性とのやりとりをこうツイートしている。
「ところで、なんで私を懲戒請求したの?」(佐々木氏)
「名前があったので、申し訳ありません」(男性)
「でも、私は朝鮮学校のことなんて何もやってないよ?」(佐々木氏)
「えっ?」(男性)
「えっ?」(佐々木氏)
懲戒請求する弁護士がどのような人物なのかよく確かめないまま、呼びかけに応じた人もいるようだ。
北氏は佐々木氏への懲戒請求を批判するツイートをしたところ、自分にも大量の懲戒請求書が届いたという。
「懲戒請求書の束を見て、自分は何をしたんだろうと怖くなりました。懲戒請求は誰でもできますが、弁護士にとっては資格を奪われるかもしれない重要なことです。やるのであれば根拠があるのかどうか、きちんと調べて欲しい」
北氏は請求者と話すと、良くも悪くも「純粋」な人が多いと感じたという。
「年齢は高めで、男性ばかりではなく女性もいます。なぜこんなことをしたのか聞くと、『朝鮮学校の無償化に賛成する人に懲戒を請求すれば日本がよくなると思った』と複数の人が答えました。ネットの掲示板に匿名で書き込む感覚でやっている。懲戒請求するとどうなるかという具体的な認識がなかった。『こんなことになるとは』、という連絡をもらうこともありました」
佐々木氏と北氏の会見を受けて、ネット上では「大量の懲戒請求をされても負担は大きくない」「多数の市民を訴えてお金をもうけようとしている」といった批判も出ている。
佐々木氏はこう反論している。
「大量の請求書が届き怖い思いをしたし、所属する事務所にも迷惑がかかっています。裁判で勝ったとしても賠償金を回収するのは簡単ではなく、お金のためにやっているわけではありません。今回の懲戒請求のように、『大量の悪意』にさらされたのに被害回復できないケースはほかにもあります。同じことが起こらないようにするためにも、裁判で決着をつけたい」
佐々木氏と北氏は懲戒請求者に6月下旬まで、謝罪と慰謝料計10万円を支払う条件で和解を呼びかけるという。その後は段階的に訴える方針だ。懲戒請求を呼びかけたブログの責任者らについては、刑事責任の追及も検討しているという。
※週刊朝日オンライン限定記事
ネトウヨ 弁護士会 懲戒請求事件 佐々木、北 弁護士 VS ネトウヨ(日本の恥)
ネトウヨと思われる勢力から大量の集団懲戒請求を受けた弁護士2名が、昨日、霞が関の司法記者クラブで、請求者の提訴に踏みきるとの記者会見を開いた。
会見をしたのは、東京弁護士会に所属する佐々木亮弁護士と北周士弁護士。両弁護士は不当な懲戒請求が不法行為を構成するとして、今年4月、Twitter上で請求をした960名に対し損害賠償を求めて裁判を起こすと表明するとともに、訴訟前の和解も呼びかけた。両弁護士は6月20日ごろまでメールによる謝罪を受け入れるとし、それ以降は6月末日を目処に順次提訴するという。
両弁護士は会見のなかで、自分たちは法律の専門家だからこそ訴訟で対抗できるが、一般の人々であれば、大量に襲いかかってくる集団の「悪意」と戦うことは簡単ではないと強調。このように思いを述べた。
「今回の件は、左右の意見の対立と捉えられがちだが、そういった問題ではありません。たとえば出版社や新聞社に『この記者はろくでもないやつだからクビにしろ』という通知が3000通もくるというのがイメージとしては近く、これに対抗できる一般の人は少ない。ネット上の悪意が匿名性を盾に行われてしまうのは、思想とは関係なく不当なことだと考えています」(北弁護士)
「いままで、こういうブログで煽ってきた悪意が、生活保護受給者であったり、外国籍の方であったり、日本に帰化した方にも攻撃し続けるということがありました。そうした方たちの気持ちを思うと、非常に怖かっただろうなと思う。もちろん第三者的には理解していたつもりですけど、いざ、自分が当事者になると、この怖さはまた違うものがあるなと感じます」(佐々木弁護士)
すでにネット上では大きな話題になっているこの問題だが、あらためて、その経緯、そして背景はいかなるものなのか。振り返ってみよう。
ことの発端は、2017年6月15日、東京弁護士会の理事者をはじめ10名に対し190名から懲戒請求がなされたことだった。懲戒理由は「違法である朝鮮人学校補助金支給要求声明に賛同し、その活動を推進する行為は、日弁連のみならず当会でも積極的に行われている二重の確信的犯罪行為である」なるものだったという。同年10月4日までに同じ内容の懲戒請求がなされ、合計で1000名を上回った。東京弁護士会だけでなく、全国の弁護士会に対しても同様の理由で会長らの懲戒請求が殺到し、数万件を超えているという。
調べていくなかで、この懲戒請求は、ブログ「余命三年時事日記」が呼びかけたものであることが判明した。
「余命三年時事日記」(以下、余命ブログ)はネトウヨ界隈では大きな影響力をもっているブログで、ネトウヨ向けの雑誌「ジャパニズム」などで知られるヘイト出版社・青林堂から書籍も複数刊行されている。
そのうちの一冊『余命三年時事日記2』によれば、余命ブログは「日本人覚醒プロジェクト」なる学生を中心とした取り組みから始まったとされる。「余命」と呼ばれるブログ主は何度か代替わりをしているらしく、現在は「余命プロジェクトチーム」を名乗る複数人で管理運営をしているとみられる。
煽動した「余命三年時事日記」とヘイト団体との関係
では、その内容はどういったものなのか。実際にサイトをのぞいてみた。管理者と読者のエントリーが入り乱れているが、〈売国奴と反日勢力は炙り出し大成功〉〈在日特権の問題は、日本から在日がいなくなれば即、終了する。では追い出す方法を考えよう〉などと、典型的なネトウヨの語彙にあふれている。端的に言えばネトウヨの妄想が書き殴られているだけの内容だ。
本サイトが調べた限り、余命ブログは、少なくとも2017年4月あたりから〈違法である朝鮮人学校補助金支給を要求する声明を出すという行為は許されざるものである。この件は懲戒請求をもって対応する〉などと繰り返し宣言していた。同年5月15日には、弁護士への懲戒請求書の“テンプレート”をPDFでアップしている。
余命ブログのテンプレートにある「懲戒理由」には〈違法である朝鮮人学校補助金支給要求声明に賛同し、その活動を推進する行為は、確信的犯罪行為である〉などとあり、実際に、佐々木弁護士が受けた懲戒理由と同じ文言だった。
また、懲戒の呼びかけは、佐々木、北両弁護士が所属する東京弁護士会だけでなく、全国の弁護士会および多数の弁護士を標的にしたものだった。懲戒請求者の氏名や住所、日付などは空白になっており、これにネトウヨ各自が記載したと見られる。
ブログを読むと、懲戒請求は、2016年に東京弁護士会が出した「朝鮮学校に対する補助金停止に反対する会長声明」や、日弁連の「朝鮮学校に対する補助金停止に反対する会長声明」を攻撃する意図があると思われるが、これらは政府や文科省に対し、各公共団体に対する朝鮮学校補助金交付の停止要請の撤回と、憲法や人権条約等で保障された適正な交付運用を求めるもの。これのどこが「犯罪行為」なのかまったく意味がわからない。
すなわち、余命ブログが「在日特権」のデマや「反日勢力」などと連呼していることを考えても、弁護士への大量の懲戒請求の背景には、グロテスクなレイシズムがあるのは間違いない。実際、余命ブログは、2015年には「7月9日から在日コリアンは不法滞在者となり強制送還される」なるデマを拡散、法務省ほか各省庁への「集団通報」を煽動していた。
ネット上だけでなく、現実のヘイト団体との連携も見え隠れする。たとえば、余命ブログは、「日本再生大和会」なる団体と連動して、大勢の弁護士を名指しし、刑法の外患誘致罪や予備及び陰謀罪で地方検察庁に告発状を送りつけていたこともブログ等の記載からわかる。
ちなみに「余命プロジェクトチーム」の書籍などで日本再生大和会の代表とされるT氏は、「ゴキブリ朝鮮人は出ていけ」などと叫ぶヘイトデモを繰り返してきた人物。また、ホームページの履歴や在特会の関連サイトの情報を総合すると、「在特会神奈川支部運営」の要職にある人物が同会の幹部を務めていたと考えられる。
さらに「余命プロジェクトチーム」による著書には、「三代目余命」を名乗る人物と、在特会の創設者にしてヘイト政党・日本第一党党首の桜井誠氏の対談が掲載されている。少なくとも「余命」ブログとヘイト団体との関係が極めて良好なのは間違いないだろう。
佐々木弁護士が集団懲戒請求を受けたのは青林堂の労働事件を担当したから?
いずれにせよ、懲戒理由の文言が同一であることを鑑みても、「余命」ブログに煽動されたネトウヨたちが今回の事案を引き起こしたとみて疑いない。しかも、この集団懲戒請求が恐ろしいのは、攻撃対象が朝鮮人学校の問題に関わる弁護士だけにとどまらないことだ。
実は、今回、提訴の会見を開いた佐々木弁護士は日弁連や東京弁護士会の役職にもついていないし、朝鮮人学校補助金支給要求声明にもまったく関わっていない。佐々木弁護士によると、「唯一心当たりがあるのが、青林堂の元社員がパワハラを受けたという労働事件をやっていること」だという。青林堂は前述のように、「余命三年時事日記」の書籍化をはじめネトウヨ本・ヘイト本を多数出版しているが、その青林堂のパワハラ事件で佐々木弁護士は労働者側の代理人を務めている。そのことで「(ネトウヨ界隈の)恨みを買ったのかなというのが、唯一の心当たり」という。
北弁護士も同様だ。昨年9月、〈根拠のない懲戒請求は本当にひどい〉などと佐々木弁護士を支援するツイートをしたところ、今年3月29日に、佐々木弁護士と北弁護士に、約960件の懲戒請求がなされたという。懲戒理由は、佐々木弁護士が過去に投稿した〈ネット右翼の諸君は相変わらずだなぁ。無邪気に私に懲戒請求してるのも900人くらいるけど、落とし前はつけてもらうからね。(^ー^)ー☆〉というツイートをコピペしたもので、それ以外に理由は付されていなかったという。
レイシズムの拡散のために弁護士の集団懲戒請求をするというだけでも大問題だが、つまるところ連中は、妄想を膨らませながら不特定多数を“敵”と認定し、懲戒請求をおこなっているのだ。
なお、佐々木弁護士が会見で明かしたところによれば、大量の懲戒請求が続いた昨年9月、これはおかしいと思ってTwitterで意見を述べていたなか、懲戒請求者の一人と思しき者から封筒が届いたという。そこには「懲戒請求者は9000000000名ですからね」と書かれていた。世界の総人口は70数億人である。封筒のなかには「外患誘致」と書かれた紙片だけが入っていたという。
実は、この「外患誘致」というのも「余命」ブログのキーワードだ。
「反日売国奴」を死刑にしろ!とがなりたてる「余命」ブログのヤバさ
たとえば、前述した桜井誠氏との対談が収録されている本のタイトルは『余命三年時事日記 外患誘致罪』。やはり青林堂から刊行された同書の巻末には「今すぐ使える告発委任状」と題して、〈日本再生大和会代表 T(書籍内では実名・編集部注)〉に〈外患罪に関する事実の告発、取り下げの一切を委任いたします〉とする文書のテンプレが印字されていた。
同書には「外患罪容疑者リスト」なるものが記載されており、旧民主党の政治家を中心に60人以上の実名が挙げられている。ほかにも、元朝日新聞記者の実名をあげて「外患罪容疑者」と記している。また「余命」ブログのほうでも、複数の弁護士の実名や事務所住所などを記載したうえで、刑法第81条の外患誘致罪等で告発したという旨の記述があった。
いったい、何がしたいのか。『余命三年時事日記 外患誘致罪』にはこのように書かれている。
〈余命プロジェクトチームの目標である「日本再生」のためには、国内に巣食う反日売国奴の排除がどうしても必要なのである。このような獅子身中の虫は、中国や北朝鮮であれば即座に逮捕して銃殺刑でまとめて処分してしまえばいいが、法治国家である日本ではそういう手段をとることはできない。〉
〈「外患罪」が適用されれば、彼ら反日売国奴は「死刑」になる可能性もあるのだ。〉
常軌を逸している。連中がネトウヨであり、その妄想からくる差別主義や弾圧の発想が極めて危険であることは言をまたないが、たしかに、ここまでくるともはや左右の思想上の対立を超えている。こうしたとんでもない悪意は誰の身にも降りかかる恐れがあり、決して「ネトウヨVS弁護士」の構図だけ捉えて他人事にしてはならない。
今回の集団懲戒請求事案については、他の弁護士による訴訟の動きもある。また、佐々木氏と北氏は、大量の懲戒請求を煽動した「余命」ブログに対する刑事告発についても、会見で「調査中」と語った。
ネトウヨによる卑劣な圧力・嫌がらせ行為に萎縮する社会であってはならない。ましてやその目的は差別の正当化である。本サイトでは、今後もこの問題を注視していくつもりだ。
(編集部)
「反日売国奴」を死刑にしろ!とがなりたてる「余命」ブログのヤバさ|LITERA/リテラ
山口メンバー 頬を舐め、胸を触り…強姦寸前だった山口達也 警察を敵に回した「被害者調書」の中身
TOKIO山口達也(46)にクビが宣告され、底が抜けた第二の人生が待つ。ただそれだけでは、なぜ女子高生は彼の部屋に行かざるを得なかったか……などの疑問は宙に浮いたままだ。警察を敵に回すほどの卑しさを描写した被害者調書を明らかにし、謎を解き明かそう。
***
「なぜ女子高生は断らなかったのか。嫌なら行かなきゃいいじゃない」
「呼び出されて家に行ったのは、何をされてもいいと同意していたからでしょ」
「キスくらいですべてを失うなんて、代償が大きすぎる。山口さんが可哀そう」
強制わいせつ容疑で書類送検され、本人の会見、残り4人での会見を経たいま、山口擁護、少女バッシングの論調が少なくない。
例えば、かのデヴィ夫人も、
〈たかがキス位で無期限謹慎なんて厳しすぎ、騒ぎすぎでしょう! 女の子達は山口達也氏の所だから行ったんでしょう。Kissされたら、トイレに行ってうがいして「ちょっと失礼」と言って2人で帰ってくれば良かったわけじゃないですか。母親に電話して警察まで呼ぶなんて。事をここまで大きく広げるなんて〉
大要こんなふうにブログに綴っている。ジャニーズ事務所は4月25日、山口の言葉として、
〈お酒を飲んで、被害者の方のお気持ちを考えずにキスをしてしまいましたことを本当に申し訳なく思っております〉
とコメントを出した。それ以降、新聞・テレビは事務所への忖度なのか単に知らないだけか、「あの夜」に本当は何があったのか、踏み込むことをしないままだ。となると、世のなかのものの見方も、冒頭のような「少女の自己責任」論に引きずられていく他ない。
デヴィ夫人の物言いに応えようにも、掲載の時系列表を手掛かりに詳細を語ろうにも、そうやすやすとは行かない。そんななか、事件のあった「2月12日の夜」に導いてくれるのが、さる捜査関係者である。
「朝の番組を終えた山口は日中から、まずはビールで喉を洗って酒を飲み始めました。それで被害女性に自分から連絡し、“部屋に来い”と誘ったのです。彼女はそもそも山口のことが好きではなかったんですが、仕方なくそれに従わざるを得なかった。ただ、“1人で行ったら絶対に強姦される”と危険な空気を察知して、知人の少女に頼み込み、何とか付いてきてもらうことにしたんです」
山口と被害女性、そして彼女の知人は、山口が司会を務めるNHK Eテレ「Rの法則」で繋がっていた。この番組のこと、そして従わざるを得なかった“理由”については後章に譲るとして、まずは、この関係者の話に耳を傾けよう。
「2人の少女は夜の8時前に港区の山口のマンションに到着しました。お香のような匂いが充満するその部屋で山口は、“なんで1人で来なかったんだ”と被害女性に詰め寄った。このとき酒は口にしていなかったけれど、彼女らには甘めの缶酎ハイなどを勧めた。グダグダに酔って酩酊していたという感じではなく、気が触れているとでも言うんでしょうか、異様なハイテンションでアルコール以外にも何か服用していたのが想像される状況だったようです」
2人は缶に口をつけ、飲むフリをしつつ、時が早く過ぎるのを待っていた。そうこうしているうちに、
「山口が被害女性に近づき、キスをしようとしたのです。彼女は嫌がって顔を背けるんだけど、その際、山口の唇が彼女の頬に触れた。それをきっかけに山口は顔面を舐めまわし、さらに腕や腰、胸に触り、ソファに押し倒そうとしました。その間、“やらせろ”とか卑猥な言葉を投げ続けエスカレートしていたから、強姦寸前でした。彼女は隙を見てトイレに駆け込んで母親に連絡。その場にいる知人の少女の目もあって山口も諦めたのか、“ヤレないんなら帰れよ”と捨て台詞のように吐き、2人はやっと家を飛び出していったそうです」
時間にしてわずか40~50分の出来事だったが、
「被害女性はとにかく怖くて、母親を待つ間も、そして合流してからもガクガク震えてばかりだったと言います。それから麻布署に母親と2人で赴いて被害を報告し、舐められた顔面から山口の唾液を採取。DNA鑑定に回しました。それから被害届が提出され、警視庁の捜査1課マターとなり、被害女性の調書をまとめていったのです」
ここまでがジャニーズ事務所も知らない被害者調書の内容である。捜査1課は事件から2週間ほどで、つまり2月中にその調書をまとめあげ、これを基に3月中旬から山口の聴取をスタートさせた。
「刑事が山口の携帯に直接連絡し、自宅を訪問する形で最初の聴取が行なわれました。その際に山口は、“酒に酔っていて覚えていない”と言って、無理やりキスはしていないと否認したんです」
と話すのは、別の捜査関係者である。
「調べた警察官のなかには、被害女性と同じ年頃の女の子を持つ親もいましてね。“山口は自分から彼女の連絡先を聞いてるんだよ。爽やかなアイドル面してるけど、ホントはトンデモないね。悪すぎるよ”と吐き捨てるように言っていました。そして2度目の聴取ではポリ(ポリグラフ=ウソ発見器)にかけ、彼女の頬から検出されたDNAが山口のものと一致するという客観的事実を突きつけた。それでも否認し続けたんです」
そして迎えた3度目。
「(警察)当局は、“このまま否認を続けるようだと身柄を取らざるを得ない”と逮捕をにおわせ、詰め寄ったようです。それで山口は、“容疑となっている強制わいせつについてはよくわからないが、被害を訴えている女子がいるならそうなんだと思う”と認めることになった。それから警察は、検察とのやりとりを更に進める一方で、被害者側には、“ジャニーズには連絡しない方がいい。向こうがあれこれ妨害とか圧力をかけてくる可能性もあるから”と伝え、予防線を張っていましたね」
その後も仕事を続けていた山口ではあったが、テンションが低くふさぎ込むようなことがあり、その点を担当マネージャーが質したところ、この一件を告白した。4月16日のことである。
ジャニーズ事務所で実務を取り仕切るメリー喜多川副社長はその報を聞いた時、
「困ったよね。自覚がなさすぎる。恥ずかしい」
とこぼしていたという。その実娘で同じく副社長の藤島ジュリー景子氏の反応について、さる警視庁関係者に聞くと、
「山口をかなり厳しい口調で非難したようです。その反応を見ると、謹慎どころか『契約解除』も十分あるという感じだった。実際そのようになったわけですが……。ジュリーさんは被害者の所属事務所トップにも会って謝罪しています。涙ながらに土下座せんばかりだったと。彼女にも被害女性とほぼ同世代の娘さんがいますからね。ジュリーさんがジャニーズに入って最初に手掛けたのはTOKIOだけど、山口を庇う気持ちはそう強くなかった。ただ、被害者側との間では、事を荒立てず、内々に処理するということで妥結していたんです」
山口の心証が悪すぎて送検されるとまで想像だにしなかったということになる。
このあとの4月20日、警視庁は強制わいせつ容疑で山口を書類送検。これには「厳重処分」という意見書が付されていた。聞き慣れぬ文言だが、元東京地検検事で弁護士の郷原信郎氏によると、
「これは、“起訴されて当然だ”と警察が判断しているという意味です。したがって、少なくとも“キスをする”“顔を舐める”という、これまで報じられている内容以上に悪質な行為があったと判断していたことになります」
刑法176条は、「13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした」場合、強制わいせつ罪にあたると規定している。
「一般論で言えば……」
と郷原氏は前置きしたうえで、こう続ける。
「“胸を触る”、“スカートの中に手を入れる”などがあった場合に、“わいせつな行為”が認められる傾向にあります。あるいは、わいせつな行為を働く意思で被害者を押し倒していたならば、その事実をもって『暴行』に着手していると判断できるので、やはり強制わいせつ罪に該当します」
その一方で、
「押し倒すという客観的な行為だけを捉えると、強制わいせつ罪の他に、強制性交等罪の未遂(法改正前は強姦未遂)も問題になります。その違いは目的が、わいせつなのか強姦なのかということ。“押し倒した”という話が本当ならば、警察は“わいせつ行為を働く意思はあったが、強姦の意思まではなかった”と判断したということでしょう」
23日、被害者側との和解が成立。翌24日に被害届が取り下げられたのだった。ちなみに、被害者側は金銭の受け取りを拒否している。
(下)へつづく
「週刊新潮」2018年5月17日号 掲載
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