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仕切り直しの米朝会談 中国・韓国に甘やかされた北朝鮮、アメリカの厳しさは予想以上だった?

 

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仕切り直しの米朝会談 中国・韓国に甘やかされた北朝鮮、アメリカの厳しさは予想以上だった?

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 今月24日、ペンス副大統領の「金委員長がトランプ大統領を弄べると考えているならば、それは大きな間違いだ。非核化に応じない場合、北朝鮮リビアのように終わりを迎える」という発言に反応した北朝鮮が、再びアメリカを非難した。

 北朝鮮の崔善姫外務次官は「アメリカが非道にふるまい続ける場合、会談を考え直すよう金正恩委員長に提案する」と述べ、ペンス副大統領を"愚鈍な間抜け"と罵り、会談が決裂すれば軍事的な緊張が高まると警告したのだ。さらに崔氏は「我々の善意に対する冒涜だ。我々はアメリカに対話を哀願しない。会談場で会うのか、核対核の対決場で会うのかはすべてアメリカの決心にかかっている」とも述べた。

 これに激怒したトランプ大統領は、来月12日に予定されていた米朝会談の中止を急遽決断。「私はあなたと会うことをとても楽しみにしていた。残念ながらあなたの直近の声明は強い憤りと敵意がむき出しで、会談を今開くことは不適当だ。あなたは自国の核能力について語っているが、我々の核能力は強大であり、使わなければならない時が来ないよう神に祈っている」という内容の書簡を金正恩氏に送った。

 さらに記者会見では「我々の軍隊は準備ができている。北朝鮮が愚かで向こう見ずな行動を取った場合は対応する。なにが起ころうとも我々はアメリカの安全について、決して妥協することはない」と強調した。

 これに対し北朝鮮はすぐさま反応、金桂冠・第1外務次官が「突然、会談中止を発表したのは予想外のことで極めて遺憾である。アメリカへの批判は、一方的な核廃棄の圧力をかけてきたアメリカ側の度が過ぎた発言への反発に過ぎない」との談話を発表した。そして「朝鮮半島と人類の平和のために全力を尽くすという我々の意志には変わりがなく、常に寛大な心でアメリカに時間と機会を与える用意がある」とし、米朝首脳会談の必要を訴え、アメリカとの対話を続ける意向も示した。

 金正恩氏への書簡では「もしあなたの考えが変わったら、遠慮なく私に電話をするか手紙を書いてほしい」と呼びかけていたトランプ大統領も、「6月12日の会談もあり得る。今、北朝鮮と話をしている。北朝鮮も会談をやりたがっているし、我々もやりたい」と、予定通りに会談が行われる可能性を示唆した。

 緊急の南北首脳会談も開催されており、水面下で各国の駆け引きが続いている。

■「北朝鮮が強硬な態度に出てきた責任は韓国と中国にある」

 26日放送のAbemaTV『みのもんたのよるバズ!』に出演した国際ジャーナリストの小西克哉氏は「"ツンデレ"の関係だ。初デートを控えた男性に、女性が"他の女に色目を使っているんじゃない"と、ガツンと1発食らわせた。そして、ラブレターか決裂の手紙かよく分からない手紙を書いて、それで今に至っている」と皮肉を込めて解説する。

 その上で、「トランプ大統領金正恩委員長としては会談をやりたいのはやまやまだ。憶測だが、北朝鮮の方がより会いたいと思う。今まではトランプ大統領の動機の方が強かったが、段々と北朝鮮の方が必要性にかられているような印象を持つ。ただ、双方に"そんなことができると思っているのか"という補佐官がたくさんいる。雑音が出てきたり、半分ブラフであったり、脅しであったり、様々な意図が交錯してメディア合戦になっていることが背景にある」との見方を示した。

 「トランプ大統領は苛立っているのだと思う。"それでも突き進む"というポンペオ国務長官と、"完全で検証可能で不可逆的な"という条件を絶対に崩してはいけないというボルトン氏との間でギャップがある。アメリカのメディアが報じているが、今回の手紙はボルトン氏とトランプ氏の2人で書いたようなもの。それに対し、2か月間やってきたことのちゃぶ台返しをされたとポンペオ氏が不快感を示してはいるが、大きな所ではチームになっているし、ギクシャクはしているが全体像について政権の中ではそれほどの違いがあるという感じではないと思う。ただ、政権には素人が多く、今までの政権であれば北朝鮮の汚い言葉に対しても外交的なメッセージとして解読し、ケンカはしなかったはずだ」。

 元在韓国特命全権大使武藤正敏氏は「直接的な原因が、崔善姫外務次官の罵るような発言だ。ただ北朝鮮ではこうした罵り発言をすることが忠誠心の証になる。競って厳しい言葉を使って、相手を罵る。だからそんなに驚くことではない。この外務次官は金正恩委員長のお気に入りなので、忠誠心で厳しいことを言っている。演出もあると思う」と話す。

 そして、「今回は仕切り直しだ。本当の交渉はこれからだ。実務協議に北朝鮮が出てこず、進んでいなかった。北朝鮮が強硬な態度に出てきた責任は韓国と中国にある。なぜかといえば、北朝鮮を散々甘やかして段階的な非核化でなんとか乗り切れると思わせてしまった。しかし実際には、アメリカが予想以上に厳しかった。北朝鮮としてはとても受け入れられない条件なので、協議をすっぽかしたり、厳しいことを言ったりしていた」と説明した。

■「アメリカがイニシアチブを取り戻した」

 また、金第1外務次官の25日の談話について「北朝鮮が相当慌てているということ。切実に米朝首脳会談をやらないといけないと思っているのは北朝鮮だ。ただアメリカもやりたい。だから中止とは言ったが、すぐにトランプ氏は調子のいいことを言っている。あれは言うべきではなかった」とした。

 自民党松川るい参議院議員は「朝鮮半島文化とアメリカのカウボーイ文化の違いを感じた。北朝鮮が相手から妥協を引き出すために陽動作戦に出るのは常套手段だ。中国の後ろ盾もあるので自信もついて、常套手段を使ってみたのだろう。しかし、アメリカにピシャリとやられた」

 「アメリカは核を持たれたら迷惑だが、そんなに困らない。識者も含め、トランプ大統領ノーベル平和賞欲しさに最後は妥協するのではと言われてきた。しかし今回はトランプ大統領自身が決定したし、全ての核放棄をするなら平和条約から経済支援まであげましょう、それ以下なら今の圧力を続けると言ってきたスタンスは一貫していると思う。一方の北朝鮮としては、平昌オリンピックから積み上げてきた外交を台なしにしてしまって、圧力と軍事オプションの脅威の世界に戻るのは困る。米朝協議に持ち込んで、平和条約を締結して、将来的には米韓同盟を縮小させ、在韓米軍に撤退してもらう道筋がほしい。その意味で、トランプ氏の方が上手だった。日本にとっては中国ではなくてアメリカが関与した形で朝鮮半島問題が解決されることが大事。その意味で、トランプ大統領は正しい判断をした。アメリカがイニシアチブを取り戻した」と分析した。

 ホワイトハウス高官は来月12日の開催は厳しいとの見方を示している米朝首脳会談。果たして予定どおり行われるのだろうか。(AbemaTV/『みのもんたのよるバズ!』より)